■問題視され始めた経緯…
大分県津久見市四浦半島は、リアス式海岸に囲まれた豊かな漁場を抱えています。当然魚介類も豊富で、それによって生計を立てている漁師たちも大勢暮らしている半島です。

問題視され始めたのは、平成3年頃から始まったジギング(ジグと呼ばれるルアーで青物などを狙う釣り)ブームからだと記憶しています。前述したような豊かな漁場を抱えるため、小魚も集まり、ひいてはそれを求める青物も群れで入ってくる四浦半島。当時、まだバブルの余韻が残っていた頃でしたが、若者の中でジギング船に乗って沖合いで釣りを楽しむことは、年間を通してもそれほど回数が行えるような釣りではありませんでした。そこで当然のように陸から青物を狙うオフショア・ジギングが流行ったため、どっとジガー(ジギングを楽しむ釣り人)が押しかけ、地元住民とのトラブルが多発しました。

そのジギングブームが静まり始めた頃、平成10年ほどから今度はエギング・ブームの到来です。エギングとは餌木と呼ばれる和製ルアーでモイカ(標準和名=アオリイカ)を狙う釣りで、老若男女の釣り愛好家たちがこぞってエギングを楽しみ始めたため、再度地元住民とのトラブルが多発するようになりました。

■トラブルの主な原因は…
主にゴミ・路上駐車・夜間の騒音・焚き火などがトラブルの原因となっています。ゴミにはここ四浦半島に訪れた釣り人が出すゴミもありますが、生活ゴミなども含まれ、海流によって流されたゴミもあるなど、あらゆるゴミがこの四浦半島に集まっているといった感じです。特に、落ノ浦地区から半島先端部の間元地区にかけては、あらゆる魚がよく釣れる場所とあり、釣り人も集まりゴミも増えます。魚が集まるということは、それだけいい潮が流れると言え、ゴミなども集まりやすいため、瀬戸内海や海上で投棄されたゴミもこの地域に集まっているといった印象です。

その他、狭い道路での路上駐車、私有地への無断駐車、港内での焚き火(周囲でも危ないので禁止ですが、特にコンクリートの上では厳禁)、おまけに漁具や干していた魚介類の盗難、ひいては人糞被害なども相次いでいます。

■四浦半島の現状
現在、四浦半島では「外から来る者(釣り人)は、害だけあって利益はない」との見方もあり、地元住民の中では「釣り禁止にしてくれ!」といった声も上がっているほどです。2006年1月に地元新聞社・大分合同新聞に「四浦住民の悲鳴」と題し、現状を訴える記事も掲載されたことは記憶に新しいです。そんな状況でも、「せっかく楽しみでくるのだから…」といった住民の声もあり、区長会などでの話し合いの元、「釣り禁止はもうしばらく様子をみよう」といった意見に落ち着いているのが現状です(2006.8月現在)。

さらに、四浦半島では高齢化が進み、年々空き家も増えている過疎地域です。地元住民の方々が定期的に清掃活動を行っていますが、西泊地区では、最少年齢が68歳のおばあちゃんと聞き、愕然とした思いもあります。つまり、10年後には掃除をする住民がいない地域が出てくる可能性もあるのです。

また、半島にある数箇所のトイレの使用状態もマナーが悪く、トイレットペーパーの盗難なども発生しています。「外からの人は楽しいことだけして、後始末は地元住民では割りにあわない。いろいろなランニング・コストもかかるので、とても面倒が見切れない」といった区長さんの声も聞いています。それほど切羽詰った状態であるのが四浦半島です。

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